久留米市主催 重要文化財 保存修理工事
『秋の大公開 2008 in 善導寺』 特集
平成20年10月18日(土)〜19日(日) |
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報 告
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秋晴れの晴天に恵まれ、久留米市、文建協、竹中工務店、大工職人、発掘の皆さん、鎮西研究所、善導寺、全てのスタッフの方々が力を出し切って、盛会のうち無事に終えることができました。 |
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平成20年10月18日(土)〜19日(日)、大本山善導寺鎮西研究所主催による 「第2回 鎮西セミナー 〜二祖鎮西上人の遺徳を訪ねてA〜」と、久留米市主催による 「国指定重要文化財 保存修理現場 秋の大公開 in善導寺」 が同時開催されました。
1日目、10時30分より文化講演会として、別府大学大学院客員教授の八尋和泉先生より「大本山善導寺にまつわる佛教美術遺品」と題し、善導寺に残る宝物や古文書の数々をスライドを使って解説していただきました。 八百年の歴史の中で、幾度も天災などにみまわれた善導寺。しかし、当初のから残っているものもたくさんあり、いかに大切にされてきたかがわかります。 また、本来の役割は宗教活動の為のものである佛像や絵画ですが、美術的観点からも素晴らしいものがたくさんありますと話されました。
正午、釜屋ではけんちん汁とおにぎりのセットが無料配布され、昨年春に江戸時代の姿に修理復原された大庫裏で食事をしました。この大庫裏はもともと食堂として建てられたことから、当時の人々に想いを馳せながらの食事となりました。
午後からは、福岡教区教化団長の行正明弘上人(正覚寺住職)の佛教法話 「聖光上人のご生涯」 と題し、善導寺開山聖光上人の生い立ちとその教えをお話下さいました。 善導寺の檀信徒はもちろん一般の方々も、鎌倉時代に生きた高僧の熱き想い、お念佛の教えの素晴らしさがあってこそ、この善導寺が八百年間栄えてきたのだということがお解りいただけたのではないかと思います。
その後は、善導寺の文化財保存修理工事について設計監理の文化財建造物保存技術協会善導寺事務所の東坂和弘所長より、現在の工事の状況と、文化財を守っていく上での心構え、考え方などをお話していただきました。
午後3時からは 「大庫裏コンサート 〜揚琴と琵琶の調べ〜」 と題し、佐賀県在住の中国人アーティスト、趙勇さん・王艶さんご夫妻による演奏会が開かれました。 大庫裏という広大なスペースをどう有効利用していくかの一案として、音楽コンサートを開いてみるのはどうかということが挙がり、今回初めての開催となりました。 揚琴と琵琶という日ごろ目にする機会の少ない楽器の音色に聞き惚れ、童謡や唱歌のメロディが聞こえてくると、客席は一緒に口ずさみコンサートを盛り上げていました。天井も無く、木と壁土だけという自然素材の空間は、残響音も自然で素晴らしく、演出に照明効果も加わり、心地よい空間を体験できたコンサートでした。
2日目は、文化財の公開を中心に開催され、釜屋では大カマドで沸かしたお茶がふるまわれ、現在はあまり使われることのなくなった大工道具 「前挽き鋸」 の製材実演や鉋がけ実演、今年春の発掘調査で出土した 「水琴窟」 の音出し公開が行われました。 水琴窟は、天気も良く乾燥した気候だったからか、今まで以上に良い音が聞こえました。 そして、同じく発掘で出土した2000年前(弥生時代)の甕棺なども公開され、歴史の深さを肌で感じることができました。
午後1時からの 「大庫裏コンサート 〜邦楽の調べ〜」 では、箏と尺八の演奏が行われました。 善導寺は箏曲発祥の地。 毎年久留米で開催される全国箏曲コンクールで2005年に優勝した稲吉一馬さんをはじめとする邦楽グループ 『Free
Style (フリースタイル)』 による見事な演奏は、箏曲を広めた善導寺の僧賢順も喜んでくれたのではないかと思います。 満員の会場は3名の奏でる音色にうっとり。 時間の経つのを忘れているようでした。
2日間とも最高の秋晴れに恵まれて、合計四百五十名を超す見学・参詣者が訪れ、みなさんゆったりとした時間を過ごしていました。
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文化講演会 八尋先生 |
会場は満員 |
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佛教法話 行正上人 |
大カマドに火が入りました |
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お昼は、けんちん汁の接待です |
おにぎりもスタンバイOK! |
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200名への無料配布 |
おいしいと評判でした |
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大庫裏(江戸時代の食堂)での食事 |
善導寺特製ランチセット!? |
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おいしくいただきました |
10月から始まった発掘作業
前身建物の遺構 |
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水琴窟の見学へ |
まずは歴史などの説明 |
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実際に水を落とす |
小さな音なので竹の筒で聞く |
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水琴窟を初めて見る方も |
2000年前弥生時代の甕棺(かめかん) |
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視聴覚コーナーとして「大庫裏や釜屋の出来るまで」のビデオ上映や、
善導寺水琴窟の音が流れる「癒しの部屋」、くつろぎスペースを設置 |
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水琴窟の音とシンセサイザーの音を
ミックスした音楽もBGMとして使用 |
NPO法人筑後川流域連携倶楽部の
筑後川の懐かしい写真の公開コーナー |
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文化財保存修理に関する説明会 |
かんながけ体験 |
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大庫裏コンサート1日目
揚琴と琵琶の調べ |
揚琴:趙勇さん |
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琵琶:王艶さん |
唱歌など客席も一緒に口ずさむ |
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2日目の大庫裏コンサート |
邦楽の調べ |
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箏と尺八を 「Free Style」 が演奏 大庫裏の響きは最高でした |
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前挽き鋸 実演・体験 |
大きなクジラ型のノコギリです |
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一生懸命、巨大な木を挽きます |
こんな歯のノコギリも |
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直径1mくらいある楠の木をを2日かけて挽きました |
いよいよ半分に割れます |
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おっと! お茶を持った「かぐや姫」が出てきました!? |
挽き跡を調査します |
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文化財スタッフでパチリ! |
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■これまでの告知のとおり、今回特別に公開された「水琴窟」が保存されている場所は現在発掘現場であり、その後、建物の組立てが行われますので立ち入り禁止となっています。
次回の「水琴窟」の公開は修理工事が完全に終了する平成25年(5年後)以降になりますので、皆様のご理解をお願い申し上げます。
今後とも文化財保存にご協力お願い申し上げます。 |
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この秋、善導寺の文化財保存修理工事の現場公開を開催いたします。
1日目は、大本山善導寺 鎮西研究所の主催で 『第2回 鎮西セミナー 〜鎮西上人の遺徳を訪ねてA』 を同時開催いたします。 鎮西上人(ちんぜい・しょうにん)とは、浄土宗開祖、法然上人のお弟子で、鎌倉時代にここ善導寺をお開きになった、浄土宗の第2祖さまです。 今回は、広く一般にわかりやすく、鎮西上人のご生涯をお伝えいたします。 また、仏教美術の観点からの講演もございます。 更に、昼食時には復原完成した大カマドでの炊き出しをし、みなさまに昼食のふるまいを計画しております。【無料ですが、受付時に整理券を配布します。先着200名様】
2日目は、文化財にゆっくり触れていただこうと、現場公開を中心に、釜屋ではではカマド焚きの実演をし、お茶の接待を計画しております。
両日とも、250年前の江戸時代の姿に復原された「大庫裏」では、『大庫裏コンサート』と題し、中国の楽器『揚琴(ようきん)』や『琵琶』の演奏、また、『箏や尺八』による邦楽演奏も計画しております。
日本最古級と思われる「水琴窟」の公開も工事期間中、最後の音出し実演となりますので、この機会に是非ご見学下さい。(次の水琴窟の公開は、修理工事が終わる平成25年以降になる予定です)
『善導寺を、鎮西上人を、文化財を』 少しでも多くの方に知っていただくために、スタッフ一同力を注いでおります。 皆様お誘いあわせの上ご来場下さい。
(H20.8.20記) |
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