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                      国指定重要文化財 善導寺 大庫裏他六棟 保存修理工事



H22.6-7




●「広間」 いよいよ完成間近!

 7月上旬、ほんのひとときの梅雨の合間の晴天からまた一変、ゲリラ豪雨や大雨が続き、三祖堂内の大雨(?雨漏り)や善導寺境内がプール状態になった時もありました。 幸い大きな被害はなく、ひと安心しました。 
 この様なお天気状況でしたので、書院・役寮などの「茅葺工事」は一向に進みませんでした。 しかし、7月中旬以降は、夏日(すでに猛暑)となり、作業再開。 もともと工事の進捗が早かったので、残すは棟の部分だけとなり、予定通り7月中には完成できそうです。

 一方、7月末までに完成する「広間」は、「表玄関」上部の彫刻に極彩色が塗られ、また龍などの彫刻も、業者の作業所で着々と仕上がっているようです。 広間内部の壁は、当初(江戸中期)と同じ赤い土壁になりました。 広間の大半は将来、寺務所となりますので、実用性を考えて畳ではなくオフィスフロアが敷かれました。 この部分は、8月後半からの三祖堂修理に伴い、仮の安産祈願所として数年間使われる予定です。 また、渡り廊下などに塗る、「漆喰壁」の土を作る行程も見学させていただきました。 初めて見る光景で、想像つかなかった作業に驚きました。

 今年の夏も暑くなりそうです。 熱中症などにならないように気をつけながら、作業をしていただきたいと思います。
(H22.7.21記)
「茅葺」 隙間を埋めるために短い茅を差し込んでいく
棟の部分の工程に入った 完成まであと少し
広間表玄関上部の彩色 「下塗り」 極彩色に仕上がっていきます
完成しました 華やかな色です この周りに龍などの彫刻が飾られます
広間内部の赤壁の土 赤い壁が塗られています
広間内部 オフィスフロアが敷かれました 本堂の東下屋の屋根補修も
漆喰壁を作ります
海草を煮ます。 数時間で固形物が無くなるので、それを濾(こ)します。
麻の繊維を入れます 混ぜます
石灰を振るいにかけながら入れます 混ぜます
白い壁土が出来ました! 一方、左官小屋前では、寝かした壁土を少しずつ軟らかくしながら、現場へ運んでいました。


●タマ監督、出世!?

 現場に住み着いたネコの「玉監督」ですが、『現場をウロウロ、本当の現場監督のような行動がおもしろい!』ということで、地元の読売新聞の方が取材に来られ、7月10日に「読売新聞・ちくごかわらばん」という折込新聞1面に紹介されました。 また、翌週には「西日本新聞・九州版」にも掲載され、広く知られるようになりました。 記事を読んだ方々から、「明るく、ほのぼのした優しいニュースで癒されました。 玉監督に会いたいです。」と数件の感想が寄せられました。 人にも優しい文化財の建築をしています。 動物にも優しくありたいものです。

 「善導寺に頼もしい助っ人が登場! 足しげく現場を見回って愛嬌を振りまき、熟練の職人達の心を一つにまとめる雄の子猫、人呼んで玉監督。 「タマホーム」と命名された寒さをしのぐ為の宿舎を建ててもらい、最近はテニスボールを半分にした建設用ヘルメットも作ってもらった。安全は何より大事。  雨の日はタマホーム、暑い日は日陰でこっそり昼寝。 ネズミやヘビを見かけると夢中で追い回し、行方知らずにもなる気ままな仕事ぶりだが、全国各地から来ている棟梁や職人らの心は、ガッチリとらえている! 緊張感あふれる現場で、みんなを癒し、元気付けてくれる玉監督はかけがえのない存在。 おかげでチームワークは抜群です。」
 (読売新聞掲載原稿抜粋、一部編集)
素晴しい文章を書いていただいた記者の方に感謝します。

読売新聞・筑後かわらばん 7月10日 西日本新聞 7月17日朝刊
ヘルメットがお気に入り
(普段はかぶってません…)
取材の時間は眠そうでした…
西日本新聞の取材の様子。 取材中にもかかわらず、本当の現場監督さんの足を枕に、とうとう眠り始めた玉監督……。


●広間内部工事 ・ 表玄関(勅使玄関) 漆塗り

 梅雨に入り、雨が降ったり止んだり、蒸し暑い季節になり、職人さんたちにとって大変な季節になりました。
 7月末の完成を目指して、広間では内部工事が着々と進んでおります。 天井や床が張られ、壁工事や表玄関の漆塗りが行われています。
 表玄関の両側の壁は、解体調査でわずかながら「朱漆」の塗られた痕跡が見つかりました。 京都からいらした漆職人さんが、6月中旬の一週間かけて、綺麗に仕上げていかれました。 
(H22.6.24記)

広間の天井が張られた 広間の壁工事も進む
本堂への渡り廊下も最終工程へ
表玄関
漆にほこりの付着を防ぐために、シート内での作業
まずは「柿渋」を塗り重ねること3回。
1度塗ると、そのあと「磨き」という作業が入るので、
工程としては6行程となる
いよいよ「朱漆」を塗る
これも3回重ね塗り
これが朱漆 (しゅ・うるし)
ムラ無く綺麗に塗り上げる 1ヶ月くらいすると本来の色に落ち着くようです


7月に入ると、玄関の彩色や彫刻にとりかかります


●文化財保存修理工事 一般公開 『茅葺大公開』 6月19日(土)

 平成15年に工事が始まって以来、今回で9回目となる一般公開は、書院などの茅葺屋根工事を中心に、表玄関の漆塗りや彩色の紹介、広間の壁塗りの実演などの見学ができ、久留米市内外より約270名の見学者が来場しました。
 茅葺は、今年4月より書院、役寮および対面所などが葺かれており、公開用のために作られた専用スロープより屋根まで上がり、間近に見ることができ、また屋根面を整える作業を実際に体験することもできました。
 茅は、熊本県阿蘇市から仕入れ、重さ約30トン、12000束に及びます。 それを下地の竹組みから約60センチの厚さで敷き詰め、突き板などで型を整えます。完成すると屋根面積は620平方メートルと広大で、文化財の中では九州最大となります。
 見学者からは、「昔は良く見た光景だが、最近は見なくなった。 とてもなつかしい。 茅の匂いが心地いいですね」、「この厚さで雨をしのぐんですね。 通気性もよさそうで、夏は涼しいのでしょうね」 と、今は失われつつある技術に感動していました。
 一般公開も終わり、安全面の都合でもう間近で茅葺を見ることはできませんが、足場が取れれば迫力のある屋根がお目見えします。 書院や役寮の茅葺は7月末に完了の予定。 広間は同じく7月末に復原完成し、実際に使用できるようになります。
(H22.6.24記)
広間内で壁や漆の説明 京都の漆職人さんも丁寧に説明してくれました
大カマドではお湯を沸かし、恒例のお茶接待。
釜屋だけ、とても熱かった……(汗)

スタッフのみなさんお疲れ様でした
平成18年11月の書院解体から、発掘、組立て、上棟式、
そして現在の茅葺までの工事記録映像の上映
書院、対面所の茅葺屋根の見学 みんなヘルメットをかぶり、見学スロープから屋根面へ
間近で茅に触れることができるのは今回の公開だけ 茅葺職人さんからの説明
善導寺の茅葺面は 寄棟(西側)、切妻(南側)、入母屋(北側)など様々な屋根の形の屋根があり、
非常に珍しく、高さも違う屋根が見事につながっています。
様々な茅葺き屋根の葺き方が、一度に見ることのできる貴重な造りのようです。
どんどん葺き上がっていきます
茅の匂いがとても心地よく、
なつかしい雰囲気を出しています
いろんな形の道具で屋根面を整えていきます
軒先の隅っこは90センチくらいの厚みがありそう
とても迫力があります
屋根の棟の部分を内側から覗く
南側(切妻)の部分
入母屋造りの対面所(北側)の屋根 屋根の上は地面より暑いです。
びっしょり汗をかきながらの作業が続いています
茅葺き屋根工事でしか見ることの出来ない
様々な道具たち


   

現場をうろうろするので名前が 『玉監督』 (王監督ではありません…)
ヘルメットも似合うようになりました!  一応、まじめに(?)働いています……。
休憩時間が少し多いのがタマにキズ…。

最近暑くなってきたので、夜中は、茅葺屋根の下が居心地がいいようです。
ネコも涼しいのでしょうね!


             


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