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国指定重要文化財 善導寺 大庫裏他六棟 保存修理工事



H20.9−




●高度な技術を要する 柱の繕い

 本年春頃より建物の解体や組立ての工程がなく、職人さん達はひたすら、加工場の中で痛んだ柱の調査や繕いに取り組んでいました。
 普段は当初の柱の傷んだ部分を削り取り、新しい材木をそこに埋め込む方法で繕っていきます。 しかし、下の写真のように、柱の中心部の大部分が傷んでいてそのままでは使えないと判断されたのもに関しては、新しい木材で芯を作り、その上に当初の木材を貼る(かぶせる)という方法で繕っていきます。
 確かに、こういった加工をするより新品の柱をそのまま立てた方が強度も強く、見た目も良いのですが、たくさんの情報が詰まっている歴史を守る為には、あえて手間暇のかかるこの方法を用いるのだそうです。
 将来、数十年、数百年後の補修の時には、調査技術も進歩して、「建立当初の歴史を解明するのに表面だけでも充分だ」という時代になっていたりするでしょうし、「平成の大工さんは、こんな技術をもっていたんだなぁ」などと感じてもらえることもあるでしょう。 その為には、こういった地道な作業が、歴史をつないでいくのだそうです。
 もちろん、現在の保存修理工事も、先人達が当初の部材を繕いながら、大切に守ってきてくれたからこそ、こういった「当初に復原する」ということが実現できるのです。 歴史を絶やしてはいけないということですね…。
(H20.11.30記)

大書院南側の柱が一番痛みが激しいようです。
芯が新しい部材で当初材をかぶせているのが、おわかりいただけると思います。
こちらは柱の上から下までを一気に加工しています
左側の白い新しい木材が芯になる部分、右側が古い部材の痛んだ内部を削り取り、
コの字型にしています。 これをカパッとはめ込むわけです。

理屈ではすぐに理解できるのですが、実際、現物を見ると素人目でも
高度な技術が必要なことがわかります。



●広間・書院・役寮周辺の発掘調査が始まりました

 10月より発掘調査が進んでおります。 広間、書院、役寮周辺の広範囲にわたる調査です。
 260年前に火事で焼けた前身建物の遺構などがどんどん見つかっています。 一定の時代まで掘り下げた時、ラジコンのヘリコプターを飛ばして、航空写真を撮影していました。 発掘作業は年明けまで続く予定です。
(H20.11.30記)

リモートカメラを搭載したラジコンヘリが登場 離陸 ブーーン
ホバーリング中に写真を撮ります モニターを見ながらこの操縦機で
搭載カメラのシャッターを切る
役寮・大書院あたり
ヘリからの写真ではありません…
軒から雨が落ちるところに敷いて、
雨が溜まったりしないようにしている瓦の遺構
いろいろ穴が出てきます 大勢の発掘の人々
毎日にぎやかです!
奥に見える白いプレハブ倉庫(写真左)の下も発掘調査の対象になっている為、
倉庫の床を削って調査をしました(写真右)


●「二朱金」 出土 (平成16年7月・中蔵発掘調査にて)

 ご紹介が遅れましたが、2004年7月に発掘調査した「中蔵(なかぐら)」部分から 江戸時代に使われていた 『二朱金(にしゅきん)』というお金が出土しました。 これは、久留米市では初めての発見だそうです。
 長辺が13.4ミリ・短辺7.5〜8ミリ・厚さ1.5ミリ程の小さなものです。 二朱金 8枚で1両ということで、今の金額になおすと1万円程だそうです。
 建物の年代から明治5年以降に落とされたものだと計算できます。 ヘソクリでも落としてしまったのでしょうか…? 今の1円玉より小さくてもずいぶん大金です。 一所懸命探しまわったのでしょう、当時の人の慌てている姿が想像できますね…。

(H20.11.30記)

おもて うら


●文化財保存修理工事
  秋の大公開 in 善導寺 報告


  平成20年10月18日〜19日

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●竣工予想パース と 模型ができました


・現状変更と実施設計
 設計監理事務所では、文化庁に現状変更や実施設計の許可をとるために、5月頃より毎日夜遅くまでの作業が続いていました。
 この現状変更とは、「当初の姿に復原する」など、「今までの建物をこのように変えます」という図面や書類を提出し許可を得ることです。 また、好き勝手に手を加えたりしないように、何故そのように変更するのかという理由も必要になってきます。 例えば、「解体した柱の痕跡調査から、当時はこうだった!」とか、「以前の修理で柱が取り替えられて痕跡は見つからないが、善導寺に残る古文書から、この部屋はこういう作りだった!」とか、つまり全ての根拠がそこに無いと、復原が認められないというわけなのです。 それが、建物の姿、間取り、床板、屋根の形状や素材、釘1本、畳の縁の模様などにまで至り、理由付けされます。 
 実施設計は、現状変更で認められた図面から、柱や釘の数、壁や屋根の面積、どういった素材を使うかなど、更に細かく資料を作り予算を立てます。
 気の遠くなるような作業ですが、あと建物4棟分、工期5年分の予定をこの数ヶ月で立て終えて、同時に大量の図面や資料、何億円にもなる予算書を作り、パースや模型を使って関係者に 「このようになりますが不都合はありませんか?」と確認していき、文化庁の許可がおりてやっと、作業にとりかかることができるのです。 

・パースと模型
 設計監理の職員方は、その経験から完成後の様子が大体思い浮かぶようですが、善導寺の和尚など素人にとっては絵でも書いていただかないとわかりません。 関係者への説明の為に、パースと呼ばれる立体図をコンピューターを使って描いてくれました。 しかし、素人はそれでもまだ実感がわきません。 そして今度は、模型を作っていただきました。 120センチ四方のずいぶん大きな模型で、間取りや壁の色、畳の部分や通路など、非常にわかりやすいものでした。
 工事はあと4年も残っていますが、考えを変えてみると、あと4年で善導寺の和尚しかいない6年前の状況に戻るということです。 建物や部屋に不都合があっても完成してからではどうしようもありません。 われわれも今、将来どのように使っていくかを一生懸命考えないといけません。 ですので、このパースや模型をたよりに、いろいろな意見を交わしているところです。
(H20.9.21記)


       復原パース  (クリックで拡大)

      復原模型  (クリックで拡大)

          せっかくの立派な模型も、写真にすると平面パースと
          同じに見えて残念です………   
 (* *;)

●スイカ?

工事事務所の横に「スイカ」ができました。 畑でもないのに…。 昨年の夏にみんなで食べたスイカの種が出てきたのでしょう。 この現象は3年前、平成17年の夏にも同じようにスイカが事務所玄関先にできたのに続き2回目のことです。 いろいろありますね……
(H20.9.21記)

あれれ?!   平成17年の夏に続き、工事事務所の脇にスイカが出来ました!
(平成17年夏のページへ)

             


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